今回紹介するファクトフルネスは、いかに私たちが思い込みというフィルターを通して世界を見ているか気付かせてくれる本だ
著者のハンス・ロスリングは医師で公衆衛生の専門家でもあり、有名なTEDのスピーカーもしていた
そんな彼が世界を誤解している世界中の人たちに思い込みを持たず、事実に基づく世界の見方を広めるために書いた本がファクトフルネスである
ファクトフルネスの中身をわかりやすく紹介するためにも、まずはファクトフルネスの購入判断基準になる12の質問に答えてみてほしい
ファクトフルネスの購入判断基準を紹介
ファクトフルネスの世間の評価はかなり高い
だが、読了後の私の評価は低く、世間と自分の評価がここまで離れたことは初めてであった
せっかく購入したが、あまりよくなかったと思わないためにも、まずは本書で紹介されている12の質問に挑戦してみてほしい
正解数が判断基準になるので携帯か何かでメモしながら取り組んで、何問正解したかわかるようにしてください
問1 低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了できるか?
A:20% B:40% C:60%
C
問2 世界で最も多くの人が住んでいるのはどこの国?
A:低所得国 B:中所得国 C:高所得国
B
問3 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったか?
A:約2倍になった B:あまり変わっていない C:半分になった
C
問4 世界の平均寿命はおよそ何歳?
A:50歳 B:60歳 C:70歳
C
問5 15歳未満の子供は現在20億人、では国連の予想による2100年の子供の数は?
A:40億人 B:30億人 C:20億人
C
問6 国連の予測によると、2100年には今より人口が40億人増えるとされていますが、どの世代の人口が増えるでしょう?
A:子供(15歳未満) B:大人(15~74歳) C:後期高齢者(75歳以上)
B
問7 自然災害で毎年亡くなる人の数は過去100年でどう変化したでしょう
A:2倍以上になった B:あまり変わらない C:半分以下になった
C
問8 現在世界には70億人いますが世界の人口分布を正しく表しているのはどれ?
A:アジア40億人、ヨーロッパ10億人、アフリカ10億人、アメリカ大陸10億人
B:アジア30億人、ヨーロッパ10億人、アフリカ20億人、アメリカ大陸10億人
C:アジア30億人、ヨーロッパ10億人、アフリカ10億人、アメリカ大陸20億人
A
問9 世界中の1歳児のなかで、なんらかの病気に対して、予防接種を受けている子供はどれぐらい?
A:20% B:50% C:80%
C
問10 世界中の30歳男性は平均10年間の学校教育を受けていますが、同じ歳の女性は何年間の学校教育を受けているでしょう?
A:9年 B:6年 C:3年
A
問11 1996年には、トラとパンダとクロサイはいずれも絶滅危惧種として指定されていました。この3つの内当時よりも絶滅の危機に瀕している動物はいくつでしょうか?
A:2つ B:1つ C:0
C
問12 いくらかでも電気が使える人は世界にどのくらいいるでしょう?
A:20% B:50% C:80%
C
答えてもらった12問は知識量を試すだけの問題ではなく、あなたが思い込みをもって情報を見ているかを確かめるためのものになっている
詳しくは延べないが、これらの質問に対して、世の中がよくなっていないと捉えられる答えを選んで間違えた人は思い込みを持っているといえる
あなたは、12問のうち何問正解しただろうか?
6問以上正解した場合、ファクトフルネスを読み終わった後の評価は私と同じように低くなる可能性がある
一方、6問以上正解できなかった人はぜひ、ファクトフルネスを読んでほしい
世間一般の評価と同じく、かなり高い評価をすることになるだろう
では、なぜ正解数によって評価が変わるのかについて説明する
ファクトフルネスの目的は思い込みを持たず、事実に基づく世界の見方を広めることである
であれば、思い込みを持っていない人、もしくは自覚している人がこの本から得られる物が少ないことは容易に想像できるだろう
そして、思い込みを持たず、事実に基づいて世界を見るということは言い換えると、感情を排除し、データを使って物事を考えるということだ
この部分が先ほど述べた情報を使って推定していく能力に当たると考えている
つまり、普段からデータを使って、答えを推定している人達は、ファクトフルネスの考え方が身についているはずである
そんな人たちが、ファクトフルネスを読んでも、もうすでに分かっていることを長々と説明されるだけのものになってしまう
私の場合は自分が思い込みをもって物事を見ていることを自覚したうえでファクトフルネスを読んだ
そして、思い込みをなくすことはできないという考えは変わらなかったので、ファクトフルネスの評価が低くなっている
とはいえ、世間の評価が高い理由もわかる
普段の生活において自分が、バイアス・色眼鏡・思い込みなどをもって物事を見ていることに気付かせられる機会はそうそうない
自分がどんな思い込みを持っているかに気付かせてもらうだけでも、この本を読む価値はある
ファクトフルネス
— 太田基裕 motohiro ota (@motohiro0119) July 18, 2020
読み終えた
ファクトとは。
考えさせられる内容でした🧘
『ファクトフルネス』#読了
— 角田奈緒子 (@naoko_chatte) February 19, 2020
データの正しい捉え方、世界の正しい見方がわかる。たくさんの思い込みや勘違いに気づいて目から鱗👁🐟もっと早く読めばよかった😭
もう本当にみーーんなに読んでもらいたいけど、最新ニュースに敏感な人、世界情勢に元々興味がある人にほど読んでほしい!
買って読んでます。すげえ面白い。スウェーデンの公衆衛生学の教授が、多くの人々が陥りがちな間違い(筆者はそれを「ドラマチックな本能」と呼ぶ)を丁寧にデータを見ながら論駁してゆく本なのかーー(いま第1章の途中)。世界はわたしたちの多くが思っているほど不幸でも危機的状況でもない、と。
— たられば (@tarareba722) January 22, 2019
実際に著名人でも、思い込みを持っていることに気付けていなかったという人もいるので、自分が思い込みを持っていないと考えている人は、一度読んでみるべきではないでしょうか
ファクトフルネスの内容
ファクトフルネスでは、私たちが持ってしまいがちな思い込みを10個あげ、それらが間違っている理由をデータと例を挙げて説明している
10個の思い込みを書き上げたものが、次のリストだ
- ・【世界は分断されている】という思い込み
- ・【世界はどんどん悪くなっている】という思い込み
- ・【世界の人口はひたすら増え続ける】という思い込み
- ・【危険ではないことを、恐ろしいと考えてしまう】思い込み
- ・【目の前の数字が一番重要だと】という思い込み
- ・【ひとつの例がすべてに当てはまる】という思い込み
- ・【すべてはあらかじめ決まっている】という思い込み
- ・【世界は一つの切り口で理解できる】という思い込み
- ・【誰かを責めれば解決する】という思い込み
- ・【今すぐ手を打たないと大変なことになる】という思い込み
ここでは、この中のひとつ【世界がどんどん悪くなっている】という思い込みを例にファクトフルネスの内容を紹介する
【ネガティブ本能】:世界がどんどん悪くなるという思い込み
ファクトフルネスの内容がどのようなものか説明するために、先ほどの質問3をもう一度見てみる
問3 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったか?
A:約2倍になった B:あまり変わっていない C:半分になった
正解はCなのだが、著者が学者、ジャーナリスト、経営者などに質問したときの正解率はほとんどの国で10%未満だったらしい
3択なので、単純に考えれば正解率は33%になるはずだが、33%を大きく下回る数値になっている
筆者はこの理由を、人々が世界はどんどん悪くなるという思い込みをもって、物事を見ているからだとしている
質問③の答えがわからず、何となく選んだ人でも、自分の生活を考えてみれば間違えないはずだ
あなたの生活が20年の間にどのように変わっていったかを考えてみてほしい
20年前はスマホも普及しておらず、ポケットに入る大きさの携帯すらまだなかった
それが今では大多数の人がスマホを持っているし、携帯を持っていない大人には出会ったことがない
あなたの生活は20年で大きく向上しているのに、極度の貧困にある人達の生活はよくならないなんてことがあるだろうか
こう言われれば納得できるが、質問3の答えを考えているときにそのような考え方ができない人もいるはずだ
おそらくニュースで流れてくる悪い情報を常に聞き続けることで、世の中がよくなっていないという認識を持ってしまっているのだろう
なぜ、ネガティブ本能を持つのか
世界はどんどん悪くなるという思い込みを持ってしまう理由は、人が持つ【ネガティブ本能】が原因だとされている
ネガティブ本能とは物事のポジィティブな面よりもネガティブな面に気付きやすい本能として紹介されており、本書では、ネガティブ本能を刺激する要因を3つ挙げ、それらの間違いを指摘している
①一つ目があやふやな過去の記憶
例:思い出は美化されがちであるため、あやふやな昔のことをあの時は良かったと感じてしまう
実際は、紛争地域など特別な場所を除いた場合、生活の質は確実に上がっていっている
②ジャーナリストや活動家による偏った報道
例:テレビなどのメディアによる、悪い情報に偏った報道を聞き続けていることで、犯罪数が減っていても犯罪数が減っていない等、世の中が悪くなっているように感じてしまう
また、よい情報はメディアで紹介されにくく、悪い情報の方が拡散されやすいため、ネガティブ本能を刺激されてしまう
実際は、よい情報はメディアで報道されにくいだけで、世界の識字率や発表される学術論文を増加しているし、飢餓で苦しむ人や災害で亡くなる人の数は減ってきている
③状況がまだまだ悪い時に、「以前に比べたらよくなっていると言いづらい空気」
状況が最悪から【よくはない状態】まで改善したとしても、まだ悪い状態と捉えてしまうことで、以前に比べてよくなったという認識ができなくなり、悪い状態は変わらないと思ってしまう
オゾン層の破壊による地球温暖化が問題になることがあるが、実際はオゾン層の破壊する物質の使用量は減り続けている
本書ではこれらの思い込みが、何故間違っているのかをデータや例を挙げて説明していくことで私たちの思い込みが間違っていることを示してくれる
今回は世界がどんどん悪くなるという思い込みとネガティブ本能について取り上げたが、他の思い込みについてもデータや例を挙げて何故間違っているかを説明している
ファクトフルネスを買って後悔しない人はどんな人か
このような人は、一度ファクトフルネスを読んで自分の思い込みに気付かされてほしい
ファクトフルネスでは、データを使って物事を考える大切さを教えてくれる
このとき、自分の中のデータと最新のデータにずれがあると、思い込みを持たないようにしていても、判断を間違えるということを教えてくれる
ファクトフルネスで紹介されている10の思い込みのうちいくつか持っていると感じた人は、本書を買ってその思い込みを取り除く方法を模索してみてはどうだろうか
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